所沢の自然〜森の緑と街の緑
        〜まちの緑の意味を考える〜





 今、井筒屋では大きなトトロがみなさんをお迎えしています。


 所沢は、昭和30年代の高度成長期より人口増や宅地開発など急激な発展を経験しました。その一方では、市内の雑木林や田んぼなど多くの自然(緑)が失われました。市内には、狭山丘陵や三富新田などに雑木林(平地林)が残されているものの、緑の減少は続いています。
 所沢の大きな魅力は、都市近郊では珍しくまとまった自然が残されていることです。これからの所沢は、森の緑と街の緑をつなぎ、緑を身近に感じられるまちづくりをすることがなによりも必要ではないでしょうか。今回の企画では、所沢の自然(緑)について、街に残された小さな緑の意味、狭山丘陵や三富新田のまとまった緑の意味、それらを緑のネットワークでつなぐことの意味などを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
 
 また、早稲田大学自然環境調査室の大堀聰先生にご協力いただき、森の緑と街の緑について保全生態学の立場からお話していただきました。さらに、21日には、実際に狭山丘陵の雑木林と湿地を歩き、所沢の宝である残された自然の重要性を肌で感じる「新緑の狭山丘陵散策会」を行いました。


 トトロに迎えられて井筒屋の店内に入ると、いろいろな展示がありますよ。

 
早稲田大学自然環境調査室より、狭山丘陵に生息する野生動物のはく製をお借りしました。 これはタヌキとシジュウカラ(手前の鳥)。
 
こちらは、ニホンイタチ、アオゲラなど。一番奥にいるハクビシンは外来の帰化生物で、生態系を乱す恐れがあるのです。
 
奥の8畳間では、市内で自然保全活動をしている団体をパネルで紹介しています。
井筒屋の店番・akira矢木さんと髭爺三上さんが市内で撮影した野鳥の写真も展示されています。
 
所沢の緑といえば「トトロ」がいるところですね。 所沢第一文化幼稚園のさくら、ひのき、きりぐみのみんながトトロを書いてくれました。
トトロにゆかりのあるものも展示しています。 これは島村産業さんで扱っているトトロの陶器です。 他に、半田時計店のトトロ時計も。
 
また、『となりのトトロ』の宮崎駿さんが描いた「所沢に住んで私の夢想すること」などの原画も展示しています。 このうち市民へのメッセージとして描かれたものは、カラーコピー(A3版4枚組・300円)をお分けしています。
早稲田大学自然環境調査室の大堀聰先生に
保全生態学の立場から、まちに緑を残すことの大切さを教えていただきました。
 
 
 第1回お話し会 「森の緑〜狭山丘陵の自然」
 所沢には、循環型農業で世界的に有名な三富新田に屋敷とヤマが一体となった緑が残るほか、狭山湖・多摩湖のまわりには「首都圏の陸の孤島」といわれる狭山丘陵があり、また、柳瀬川流域にもまとまった緑が残っています。
 狭山丘陵は地形が複雑で多様性があることから、多くの生物種が存在し、関東平野の67.6%の種が存在しています。緑地の面積が広くなれば多くの種が存在することができ、この生物多様性を守るためにはまとまった緑として残すことが大切なのです。
 これまでにも、多くの種が絶滅したことはありましたが、近年生じている種の絶滅は人間に起因したもので従来の絶滅とは違うもので、21世紀末には4分の1くらいの種になってしまうともいわれています。

 ここ7〜8年は不景気で大きな開発は行なわれていませんが、今後、開発されるかもしれません。狭山丘陵、三富の緑、柳瀬川流域などのまとまった緑それぞれが、そこで暮らす生物にとって、また所沢のまちにとってどういう価値があるのか考え、どうこわされないようにするのか、残していくのかを考える必要があると思います。
 今までは自然保護が言われてきましたが、これからは、使う緑と残す緑を分けて、人の手を加えながら緑を残していく「保全」ということを考える必要があります。昔の雑木林は、落ち葉かきをしたり伐採して萌芽させたりして、使いすぎて林を駄目にするようなことはせずに使ってきたのです。

   
新緑の狭山丘陵散策会〜雑木林と湿地を歩く
散策の前に、早稲田大学115教室で大堀先生から湿地の環境などについて講義を受けました。
ここは、早稲田大学B地区湿地と呼ばれているところ。大堀先生が随時説明してくださいました。
 
早稲田大学自然環境調査室では、キャンパス内にシジュウカラの巣箱を設置して観察しているそうです。
 
シジュウカラの巣にアオダイショウが入り込んで雛を食べていました。すでに多くの雛が食べられ、アオダイショウの腹がふくらんでいます。
  
手前はニセアカシアの純林。外来種のニセアカシアが入り込み広がってくることで在来種が圧迫され問題となっているそうです。
市内でも標高が最も高いあたりに出て小休止。参加者みんなで、一望の狭山丘陵を眺めました。
第2回お話し会 「街の緑〜点在する緑の価値」
大堀先生は、今回もスライドを使って熱心に話をしてくれました。
落葉樹主体の雑木林にはそこでしか生きられない生物がいて、人手が加わることで生物多様性が保たれていましたが、近年は放置される林が多くなり、今、どうするかを決断しないと再生が難しくなってしまうそうです。

緑の企画の期間中、「みんなで探そうまちの緑」と題して、市街地内で見つけた緑や花、鳥などの写真をみなさんから大募集しています。ふるってご応募ください。

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